公開日:10月27日(JPYCリリース当日)
テーマ:なぜJPYCは「借りるためのもの」なのか/事業者・投資家が得る具体的メリット
リード(結論)
ついに国産ステーブルコイン「JPYC」が本格始動。
結論から言うと、JPYCの本丸は“借りる(借り替える)ため”にある。
ブロックチェーンによる低コスト・即時着金・プログラム可能性は序章にすぎず、真価はDeFiレンディングでの担保・借入ニーズにある。この記事では、その理由を事業者・投資家双方の視点から徹底解説する。
目次
- JPYCとは?ステーブルコインの基本
- JPYCが“革命”な理由(ブロックチェーンの4大メリット)
- 事業者メリット:振込・決済手数料/即時入金/凍結リスクなし
- 投資家メリット:**DeFiで“借りるための円”**としてのJPYC
- “借り替え需要”という巨大市場の正体
- JPYCのビジネスモデルと日本政府の狙い
- まず何をすればいい?はじめ方のヒント
- まとめ:JPYCの未来と活用の方向性
1. JPYCとは?ステーブルコインの基本
- ステーブルコイン=法定通貨と同等価値のデジタル通貨。
- JPYCは1 JPYC=1円相当。いつでも円に償還可能。
- JPYCはパブリックなブロックチェーン上で動作(対応ネットワーク:Ethereum/Polygon/Avalanche)。
世界ではUSDT/USDCが主流。市場規模は拡大中。日本は規制で出遅れていたが、今回のJPYC認可で状況が一変。
2. JPYCが“革命”な理由(ブロックチェーンの4大メリット)
(1) 送金コストが激安
- 例:Polygonでのネットワークフィーは0.1〜1円/件程度。
(2) グローバルに即時送金
- 国境を越えた資金移動がウォレット間で即座に完了。銀行の審査・遅延・ロストに悩まされない。
(3) プログラム可能(Programmable Money)
- 誰でもJPYCを使うアプリ/業務ツールが開発可能。
- 例:社内向けの一括送金アプリを自作→ワンクリックで外注・スタッフへ支払い。
(4) オープンなエコシステム
- SDK等でサードパーティが拡張。Pay系と違い、外部からの自動化・連携が容易。
3. 事業者メリット:振込・決済手数料/即時入金/凍結リスクなし
- 銀行振込:100〜400円/件 → JPYC送金:高くても1円/件。
- 大量振込ほど削減インパクトが莫大(例:1万人×毎月振込でも理論上約1万円/月程度のネットワーク費用)。
- クレカ決済手数料(3〜5%)→ JPYCは定額のネットワーク費なので売上規模が大きいほど有利。
- 例:売上1.3億円だとクレカ手数料で約500万円。JPYCだと数千円規模に。
- 即時着金&凍結リスクなし
- P2P送金で中間業者を介さないため入金遅延・凍結のストレスから解放。
4. 投資家メリット:DeFiで“借りるための円”としてのJPYC
- DeFi(分散型金融)では、BTC/ETHなどを担保にステーブルコインを借入できる。
- 現状はUSDT/USDC(ドル)が中心だが、JPYC(円)で借りられると借り替え需要が爆発的に生まれる可能性。
- 売らずに資金調達:BTCなどを手放さず、法定通貨相当(円)を確保できる。
- 担保価値は価格上昇で増加:BTCが上昇すれば借入可能枠も拡大。
- 担保側に金利がついて総裁されるケースも(プロトコル・相場次第)。
著者は2021年からドル建てで実践中。Aave等の大手プロトコルで借入需要は既に超巨大。
5. “借り替え需要”という巨大市場の正体
- 大手DeFiレンディングではUSDT/USDCの借入残高だけで約90億ドル(約1.3兆円)規模。
- 円安・インフレが続くなら、「価値が相対的に下がる通貨=円」を今借りるインセンティブが強い。
- 将来、円の実質価値が下がれば返済の実質負担は軽くなるという発想。
- 借り手が強烈に存在する=貸し手には金利収入の機会。
- 例:ドルの貸出金利が年約3.5%前後のことも。円(JPYC)は相対的にやや低め(例:年2%想定)になり得るが、銀行預金より有利な水準が期待できる(※変動/将来の見込み)。
海外投資家にとっても、金利の低い“円”を借りる魅力は大きい。国内外での借り替えがJPYC流通量を押し上げる可能性。
6. JPYCのビジネスモデルと日本政府の狙い
ビジネスモデル
- 発行残高に対応する裏付資産として日本国債を保有し、国債の金利収益を得る。
- 海外の例:USDT発行体(Tether)は国債運用益等で巨額の利益を上げているとされる。
日本政府の狙い(推察)
- 国債の買い手を増やす仕組みとしてステーブルコインを整備。
- JPYCが選ばれた背景には、パブリックチェーンで本格運用可能な体制を早期から整えていた点が大きい。
- 一方、メガバンク系の取り組みは非パブリック型になりがちで相互運用性/拡張性に課題が残る可能性。
7. まず何をすればいい?はじめ方のヒント
- 本人確認→アカウント作成
- 円を入金→JPYCを発行
- 使い道を選ぶ
- 事業者:請求/支払のJPYC対応、一括送金ツールの導入、手数料最適化。
- 投資家(上級者):DeFiでの流動性提供/レンディング等。
- 例:USDC/JPYCのLPをUniswapで組むといった戦略(相関が高くインパーマネントロスが小さめの想定)。初動は二桁利回りの局面が生じる可能性も(※相場・設計による/自己責任)。
注意:小規模・新興のDeFiはスマコンリスク/流動性リスクが高い。Aaveなど大手対応を待つのが安全志向。必ずDYOR(自分で調べる)。
8. まとめ:JPYCの未来と活用の方向性
- JPYC=ブロックチェーン上の“日本円”。
- 事業者は振込/決済コスト削減・即時着金・凍結回避の恩恵。
- 投資家にとっては「売らずに資金を得る」DeFi運用の要。
- とりわけ“円を借りる/借り替える”強烈な需要が流通拡大を牽引する可能性。
- 発行体は国債運用益で収益化、日本にとっても国債需要の受け皿となり得る。
- まずは触って学ぶところから。上級者はDeFiでの活用へ。
付録:想定Q&A(本文の要点を短く)
Q. Pay系と何が違う?
A. パブリックチェーンで超低コスト/即時/プログラム可能。開発者・事業者の自由度が桁違い。
Q. なぜ“借りるためのもの”なの?
A. 担保にして円を借りるDeFi需要が巨大。借り替えが起きると貸し手の金利収入も成立。
Q. リスクは?
A. プロトコルリスク/スマコンリスク/流動性/変動金利など。大手対応を待つ、自己責任でDYORが原則。
必要なら、導入チェックリスト(KYC手順、対応ウォレット、最低限のセキュリティ、初回テスト送金のやり方、会計処理のポイント)も追記できます。文章トーンや長さの調整、図解や図版用キャプション化もお任せください。